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シンプルな中にある“美”
大前●古くから伝承される日本人の美意識って、今の社会で失われつつありますけど、本当にすばらしいものですよね。シンプルな空間や存在があり、その中に細心の気配りで“究極の美”を生み出しているというか。
財尾●家元のお茶会に招かれたことがありまして、そのときの家元の美意識も、本当にびっくりするものでしたよ。お茶会の前日、お弟子さんたちが何をすると思います? 庭の玉砂利を一個ずつ洗って、葉っぱを一個ずつ拭いていくんです。100坪ほども ある敷地、全部ですよ
大前●すごい!
財尾●お茶会という一瞬の出来事のために、そこまでできるって本当にすごいことですよね。西洋の文化というのは着飾って、飾り立てていくものですけど、日本の文化はそぎ落とし、シンプルな中に美を見出していく文化だと思うんです。床の間に飾る椿もたった一輪なんですけど、その一輪を咲かせるために家元がどれだけ椿に真心を込めて、お茶会を開く今日という日に至ったか。そんなことを考えれば、たった一輪の椿もいとおしく思えますよね。
大前●日本文化の美しさって、見た目以上に、そこに関わる人々の心の美しさなんでしょうね(涙)
財尾●私もそう思います。日本の文化は心の美しさを尊ぶからこそ、海外で日本人が賞賛されたり、日本の美術品に高い評価をされたりするんでしょうね。私、「日本人の魂」という言葉が好きなんですよ。「サムライ魂」とか(笑)。すごく心を揺さぶられるテーマだと思いません? 私の場合、幸運なことに、子供の頃からそんな魂に直に触れることができました。そのことが今大人になって、ひとりの人間として存在するうえで、揺らぐことのない自分の核になっていると感じますね。
ブランド品への対し方
大前●分かります。本当の美しさって、飾り立てることではないんですよね。飾り立てないと美しくなれない人って、結局その人の存在そのものが薄らいでいると思うんですよ。
財尾●なので、私はブランド品を持っていますけど、意味もなくたくさん持つのはあまり好きじゃないというか。
大前●私もそうです。たしかにブランド品に魅かれ、買い集めていた時期もあったんです。でも、今はほとんど売ってしまって、本当に好きなものだけを持っています。この腕時計もそのひとつ。あまりお金がないときに一生懸命に働いて買ったものなんですけど、時計としての価値以上に、その当時の気持ちのほうが大切だと思うんですよ。
財尾●私も、今持っているものは、ほとんどが何十年も身に付けている愛着のあるものばかりですね。
大前●ブランド品で着飾っていたころの私って、結局自分という存在を認めてもらうためにブランド品を身に付けていたところがあるんです。「このブランドを持っている」という評価を得るために、必死になって買い集めていたんです。でも、それって私自身に対する評価じゃないんですよね。26、27歳のときにそんな気付きがあって、ブランドを否定するのではなく、ちゃんと考えて持つようにしようと思うようになりましたね。
財尾●私も10代最後の年かな、原由美子さんという有名なスタイリストさんがエッセイの中で書かれていあ「ベーセ・ベージュ」というフランス人の考え方を知り、すごく共感したんですよ。元々、フランスでは、何代も前の女性が身に付けていたものを自分の子供に代々受け継がせる、さらに次の世代に託すために大切に使っていくという意味なんですって。原さんはエッセイの中で「ベーセ・ベージュの気持ちをもともと日本人も持っていたけど、どんどん失われているから、今こそ復活させるべきだ」と書いていたんです。その文章を読んで、「この人、すごく素敵だな」って思ったんです。
大前●モノって、気持ちを込めて大切にしてあげることで、ほかの何物にも変えがたい、あたたかみやぬくもりが感じられるようになるし、きっとそこから本当の美が生まれるんですよね。
財尾●そんな感覚が常に私の根底にはあるんですよ。起業とは直接関係ないかもしれませんが、自分という人間のベースになっていることはたしかですね。
対談を終えて
4回連載の1回目。
私は社長対談で初めて泣きましたよ。
「一輪の椿」の時点で・・・
私達は「日本人です」そのベースを理解した上で「日常な些細なことでも美意識」を考えませんか?日本ならではの春夏秋冬の美しさがあります。
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